秋田の酒大百科
 
秋田でオリジナルに開発した酒米「秋田酒こまち」の醸造酒

2003年4月から本格発売開始

酒どころ・米どころ秋田の35蔵元から 酒米、水、麹、全て秋田県産による大吟醸酒が誕生


秋田県酒造組合は、15年前から始まった酒造好適米新品種開発事業において秋田県産の酒米のオリジナル品種「秋田酒こまち」の開発に成功、平成10年度から試験醸造を実施してきましたが、いよいよ来年4月から「秋田酒こまち」を使用した醸造酒の本格発売を開始することになりました。

来年発売を予定しているのは県内35の蔵元。各蔵元約2,000本(720ml瓶換算)を生産し、県内のみならず、東北、北海道および首都圏の酒販店で発売する予定です。

秋田県は現在、清酒出荷量が36,749klと全国4位の酒どころ。特に、日本酒にまだ等級制度が存在していたころ、秋田の酒は灘や伏見の一級酒に負けない程うまい二級酒として圧倒的な存在感を誇っていました。しかし近年、消費者の好みの多様化、高級化という市場の変化に伴い、大吟醸酒、吟醸酒などの高級酒の需要が伸びている中、秋田県産酒においても高級酒へのシフトが言われるようになりました。

一方、秋田は米の生産県でもあり、そのうち酒米の生産量は現在約3,600tと、全国で7位となっています。しかし、これは作付け面積でみると約600haで最盛期の約1/3以下になっております。最高級酒を造るためには、酒米の最良品種とされる県外産の「山田錦」を使用することが多く、酒造関係者の間では秋田県産の酒米を使って高級酒を造るというのは長年の願いでもありました。

昭和63年、秋田県酒造組合、秋田県商工労働部・農政部、秋田県総合食品研究所醸造試験場、秋田県農業試験場、秋田県立大学短期大学部など、産・学・官の協力による酒造好適米新品種開発事業が立ちあがったのです。

目指したのは「山田錦」に匹敵する酒米。「大粒心白」の酒造好適米で、成分的には酒の雑味となるたんぱく質が少ないという条件を兼ね備え、かつ秋田の気候に合った育てやすく一定の収穫量を確保できる品種です。農業試験場が育成した約500系統の原料米を分析し、試験醸造、現場醸造とさらに絞り込んでいった結果、品種登録にまでいたったのは「吟の精」「秋の精」「美郷錦」のわずか3品種という気の遠くなるような作業の末、ついに15年の歳月を経て、 「秋田酒こまち」という「山田錦」に並ぶ品質をもち、かつ秋田で生産できる酒米が誕生したのです。

平成13年には県内20の蔵元で「秋田酒こまち」による現場醸造が行われました。そのうち7点を今年5月に行われた「全国新酒鑑評会」に出品したところ、1年目の醸造にも関わらず5点が入賞し、そのうち2点が金賞を受賞しました。通常、何年もの経験を積み重ねて栽培技術や醸造技術が磨かれていき評価が定まっていくなかで、これは将来の可能性を感じさせる出来事でした。また、例年「山田錦」を使用した日本酒が金賞のほとんどを占め、今年も金賞酒289点のうち「山田錦」以外の酒米を使用したものはたった9点にすぎませんでした。そのわずか9点のうち、「秋田酒こまち」醸造酒が2点も受賞したことに関係者一同手応えを感じ、平成16年に予定していた商品化の予定を1年繰り上げる一因となりました。

「秋田酒こまち」で醸造した日本酒の味の特長としては、「上品な旨さと軽快な後味」があげられます。 たんぱく質が少ないことに加えて、でんぷん質が消化しやすい性質を持つため、雑味が少なく「上品な旨さ」になりやすいと同時に、飲んだときに口の中でふんわりと広がる感じが軽快な後味を創出します。

秋田の酒は、灘の男酒に対比してきめ細やかな女酒といわれています。これは冬気温が低く、発酵が進み過ぎるのを抑えられることによって、秋田の酒造りの特長といわれる低温長期発酵が可能になり酒に旨味がでてくることによります。また、雪が降ることにより空気が清浄になり長期発酵でも雑菌におかされにくいということもあり、秋田の酒造りにおいて気候条件は重要な要因となっています。

今後は各蔵元がこうした秋田流の醸造方法の過程で「秋田酒こまち」にあった工夫をかさねることにより、「山田錦」とは異なる秋田流の大吟醸酒を造り出していくことになります。さらには、吟醸酒、純米酒でも「秋田酒こまち」を使用することにより、醸造酒全体のレベルアップにつながり、秋田の酒が評価をうけるための牽引力になるものと期待されています。



秋田酒こまち試醸酒試飲会の様子
発売予定銘柄