秋田の酒大百科


2014.02.26(2017.10.17改訂)

酵母の話(2)

吟醸酒用酵母を主体に秋田県独自の酵母開発が進み、それぞれの酵母の特性を活かして醸しだされる日本酒の香りと味を楽しんでいただけるようになりました。

秋田県で開発された清酒酵母

昭和5年(1930年)に秋田市の新政酒造から分離された酵母が日本醸造協会の「きょうかい6号」酵母として採用されました。現在販売されているきょうかい酵母の中で、最も歴史の古い酵母として引き継がれています。
また、昭和62年から秋田県と秋田県酒造組合で共同研究が始まり、平成2年(1990年)に吟醸酒ブームの中で全国に先駆けて「秋田流花酵母(AK-1)」が誕生しました。このAK-1を使用した酒が平成3年(1991年)の全国新酒鑑評会で金賞26点を受賞し、蔵元数では25社と都道府県別蔵元数受賞としては全国1位に輝きました。そして同年、AK-1使用の酒に秋田県産地呼称清酒認証制度を採用した秋田県の統一ブランド「秋田旬吟醸」を発売し、一大旋風を起こしました。日本醸造協会はこのAK-1の優秀な特性に着目し、平成8年に「きょうかい1501号酵母」に採用されました。新政酒造の「きょうかい6号」以来、60年ぶりに秋田県産まれのきょうかい酵母が誕生となったのです。

秋田県産の清酒酵母一覧
AKITA雪国酵母(UT-1) 2015 香り華やか(リンゴ・メロン様)フレッシュな味わい
こまち酵母R-5 2013 香り華やか、味は華やか・軽快タイプ
秋田蔵付分離酵母 2012~ 秋田県内25蔵元から分離されたオリジナル酵母
こまち酵母スペシャル 2012 香りは極めて華やか、味は華やか・膨らみタイプ
秋田酵母№12 2009 香りはバナナ様、味は軽快・爽やかタイプ
秋田酵母№15 2009 香りはメロン様で華やか、味は膨らみタイプ
華こまち酵母 2007 香り華やか、きめ細かく、なめらかな味
秋田純米酵母 2004 吟醸香、含み香があり、きめ細かく、なめらかな味
こまち酵母 2002 吟醸香が高く含み香があり、酸の生成少なく後味まろやか
秋田流雅酵母・AK-4 1998 香り華やか、上品な味わい、低アルコール酒用
秋田流花酵母・AK-1 1991 さわやか、軽快なタイプ、ほどよく吟醸香があり後味軽い
日本醸造協会が全国に頒布する「きょうかい酵母」一覧
泡あり 泡なし  
6号 601号 秋田県「新政」から分離、香りやや低く、まろやか淡麗
7号 701号 長野県「真澄」から分離、香り華やか、吟醸酒・普通酒に適す
9号 901号 熊本県「香露」から分離、短期醸造、華やかな吟醸香高い
10号 1001号 低温長期醸造、酸が少なく、香りが高い
11号 - アルコール耐性が強く、アミノ酸が少ない
14号 1401号 (金沢酵母)酸少なく、特定名称酒に適
- 1501号 秋田県「秋田流花酵母・AK-1」
- 1801号 酸が少なく、吟醸香、含み香が高い

秋田蔵付分離酵母

酒蔵には蔵付き酵母が棲みつき、各蔵元が醸すお酒の香りや味わいの特徴の一因にもなっています。秋田県では秋田県酒造組合と共同で酵母の分離技術を確立し、県内の酒蔵に古くから棲みつく清酒酵母を永年の眠りから目覚めさせ、純粋培養して「秋田蔵付分離酵母」としました。これまでに、酒蔵の神棚や、天井近くの柱に貼り付けてあったお札、破魔矢などから清酒酵母の分離に成功しました。
平成24年度に4銘柄で販売をスタートした「秋田蔵付分離酵母」純米酒シリーズは、平成25年度は13銘柄、3年目の平成26年度はさらに銘柄数を増やし、それぞれの蔵元が「秋田蔵付分離酵母」の特徴を活かした純米酒の開発を進めています。


「AKITA雪国酵母(UT-1)」の開発

新酒は、搾りたての華やかな香りとフレッシュな味わいが特徴ですが、適熟を過ぎると時間の経過と共に、温度や酸素、光などの影響により香味が変化していきます。
秋田県総合食品研究センター醸造試験場では、秋田の清酒を海外に広げるため、海外市場の過酷な流通・貯蔵環境を想定し、平成24年(2012年)から秋田県独自の純米酒・吟醸酒用酵母の開発を進めてきました。その結果、香りの変化が少ない「AKITA雪国酵母(UT-1)」(2015年11月特許出願)を開発しました。

「AKITA雪国酵母(UT-1)」の清酒の特徴

「AKITA雪国酵母(UT-1)」は、リンゴ・メロン様の吟醸香の一成分であるカプロン酸エチルの生成が高く、アルコール耐性を有し、香りの変化が少ないという特徴があります。この酵母で醸した清酒は、フレッシュさを持続し、華やかでフルーティーな香りと含み香を伴う膨らみのある味になることが分かりました。平成28酒造年度では、18の製造場で商品化されています。