秋田の酒大百科


2013.12.25

秋田の風土の秘密

寒冷降雪の気候

秋田県は古来より森林、鉱物資源、海産物、米、水に恵まれ、台風等自然災害及び戦乱が少なかったため、生活は比較的豊かでした。北緯40度、東経 140度に広がる 11,609km2の土地面積があります。
南北に縦走する奥羽山脈と出羽丘陵は県内を海岸部と内陸盆地に二分し、冬の北西季節風は強い寒気をもたらしています。
秋田の酒造りは11月頃、冬の到来とともに始められ、やがて12月から2月にかけての最も寒い時期が最盛期となります。降雪により空気は清浄化され、雪に埋もれた酒蔵は酒造りに好適な室温が大きな変化もなく保持され、この環境のもとで清酒の醪(もろみ)は低温長期の醗酵経過をたどり、きめ細かな秋田の酒ができあがるのです。

寒冷な気候を利用した酒造り

秋田ではこのような雪国の寒冷な気候をうまく利用して、醪の仕込みから醗酵まで、低い温度でじっくりと時間をかける「秋田流低温長期醗酵」と呼ばれる方法で酒造りを行っています。お酒を低温で仕込むのは、雑菌の侵入を防ぐとともに、急激に醗酵させないためでもあります。
この醗酵は、低温下では長期になり約1ヶ月で終了し、逆に高温下では17~20日と短期型になりますが、低温醗酵では酒質は淡麗でなめらかとなり、高温醗酵では酸度の多い荒い酒になるといわれます。
このように寒冷積雪の気候風土、やや硬質といわれる県産米の米質、軟水の多い水質に合致した器具・機械の工夫、先人が築き上げた酒造技術の伝承による低温長期型を極めた仕込みにより、柔らかで淡麗温和な秋田酒を造り出しているのです。