秋田の酒大百科


2014.03.19

日本酒と健康

昔から「百薬の長」といわれてきた日本酒。そのメカニズムが、ここ最近解明されつつあります。適度な飲酒は、心臓病やガン、骨粗鬆症、老化・痴呆などの発症リスクを下げるというデータが、世界の疫学的研究で次々に発表されています。健康を維持するだけではない、積極的に元気を応援してくれる、日本酒。あなたの心身をよみがえらせる一杯の効果を知って、秋田のお酒を美味しくお楽しみください。

アミノ酸の恩恵

私たちの身体に必要なアミノ酸。お酒の中でも特に多くのアミノ酸を含むのが、日本酒です。日本酒に含まれるアミノ酸は、胃を丈夫にして、食欲を増進させてくれます。また、動脈硬化や心筋梗塞、肝硬変、健忘症など、多くの生活習慣病の予防に有効だということも解明されてきています。サプリメントを飲むのもよいのですが、家にある日本酒をちょっと思い出してください。ほろ酔い気分で、アミノ酸の恩恵にあずかる。これこそ、一石二鳥の健康法といえます。
また、日本酒に含まれるアミノ酸は、肌をしっとりとさせ、つやとしなやかさを与えてくれるので、美容効果も期待できます。血液循環がよくなることから、女性に多い冷え性や肩こりに効果があるのもうれしいですね。飲んで内側からきれいになり、さらに、顔や身体全体にたっぷりとつけて、外側からも保湿するのもおすすめです。

血管の若返り効果

日本酒を飲んで頬がほんのり染まってきたら、血行がよくなっているというサインです。日本酒は、毛細血管の働きを活性化させて、血液を流れやすくします。また、日本酒に含まれる成分は、悪玉コレステロールが酸化するのを防ぎ、善玉コレステロールを増やすというデータも報告されています。総コレステロールが高くても、善玉のほうが多ければ動脈硬化になりにくいのです。
長寿の秘訣とは、いつまでも血管を若々しく保つようにすること。しなやかで、ハリのある血管でいるためには、日本酒は有効なのです。

「日本酒を飲むと太る」の間違い

日本酒を飲むと太るという声も聞かれますが、これは日本酒ではなくて食べ物のせいといわなければなりません。問題なのは、総摂取カロリーです。アルコールは、1gにつき7kcalあり、これはどんなお酒でも同じで、摂取カロリーは飲んだアルコールの量に比例するのです。ですから、大切なのは、食べ過ぎと飲み過ぎに注意すること。おつまみは高カロリーのものを避け、さっぱりとしたタンパク質食品や、野菜、海藻類をおすすめします。そして、食べ方にも一工夫しましょう。揚げ物、煮物、酢の物など、いろいろな種類の料理をバランスよく食べるのがコツです。お酒とおつまみの関係、おいしく、正しく楽しみたいですね。

日本酒ときどき「和らぎ水」

「和らぎ水」とは、日本酒を飲みながら飲む水のことです。日本酒のグラスの横においしい水を用意して、ときどき飲んでください。酔いをやわらげる水、だから「和らぎ水」。これは身体に優しい飲み方で、水を飲むことで、お酒のアルコール分が下がり、酔いの速度がゆっくりと緩やかになります。気分がスッキリして深酔いを防ぐうえ、口の中をリフレッシュさせて次の一杯や料理の味を鮮明にさせる効果もあります。
そして、すべての基本は、適量を守るということ。この基本を守ってこそ、日本酒も本来の健康効果を発揮できるのです。ゆったりくつろいで楽しめば、日本酒の世界がさらに広がることでしょう。

適量でストレス解消

ストレス解消効果を期待するなら、日本酒をゆっくりと飲むことをおすすめします。日本酒は、緊張によって収縮した血管を拡げ、血液が流れやすい状況をつくります。また、毛細血管の働きを活性化させ、マッサージと同じように筋肉のコリをほぐす効果もあります。その日の疲労はその日のうちに解消したいもの。晩酌という習慣は、日本人が見出した素晴らしい知恵といえます。
現代の医学では、万病の元ともいえるストレスをいかに解消し慢性化を防ぐかが大きな課題とされていますが、お酒は明らかにストレスに関連した疾患の数を減らしてくれるのです。また、お酒を飲むことで交感神経が刺激を受けて行動的になり、何かをしようという意欲をかきたててくれますが、これが明日へのエネルギーにつながるわけで、そのやる気を起こさせてくれるという点も含め、適量の飲酒がもたらす効果は絶大なものがあります。

パーティーなどでスマートに飲むコツ

コミュニケーションを深め、人間関係を円滑にしていくうえで、パーティーの効用は計り知れませんが、お酒を上手に飲むことでその効果も高まります。それにはまず、適量を守ること。これを超えては、コミュニケーションもままならないばかりか、ひんしゅくをかってしまいます。個人差はありますが、体重1kg当たり、1時間に0.1gの純アルコールが分解されますので、これを計算して飲めばベストです。体重60kgの場合だと1時間に6gが目安となり、日本酒なら1/4合にあたります。そして、料理をほどよく食べながら飲むのがポイントです。空腹のままだと、お酒は胃からすぐ腸に回ってしまい酔いが急に回ります。
マナーとしては、人にお酒の無理強いはしないこと。それぞれのペースや適量がありますから、それを認め合うことが礼儀です。飲んだあとは果物を食べてアルコールの代謝を促します。そして十分な睡眠時間がとれる範囲内で切り上げるようにしましょう。

■参考文献
「日本酒読本」「日本酒ほろ酔い健康法」「和らぎ水のすすめ」(日本酒造組合中央会)